その人はたった一人で乗り込んで来た。


その人は
たった一人で乗り込んできた。
4月の、桜の頃だったと思う…
我々のオフィスに。



年は30代半ば。
いや、もっと
若いのかも知れない。

いや、
ひょっとしたらその逆で、40、越えてるのかもしれない。
わたしはその人の年をいまだに知らないけど。

でも
わたしには
清廉な青年に見えた。

黒縁の眼鏡をかけ、少し長髪で…
少し猫背で…
見るからに
その人は
わたしの思い描く文学青年そのものだった。



「この本を出したいんです。」

文藝別冊/河出書房の
岩本くんの登場だった。

わたしは初めての人との対面で名前を
くん!と
呼ぶことはない。
でも
岩本くんは
岩本さんではなくて
岩本くんだった。
そんなかわいらしい人だった。

岩本くんはたった一人で出版の依頼にきた。

その日にわたしはたまたま出くわした。
うちの
会議室は対面で20人は座れる。
その片側に岩本くんは一人で座り、片側にはうちのオフィスの人間が長渕を含めて8人は座っていたと思う。

岩本くんが目の前に広げた文藝別冊の
既に上梓してある本を、広げた。

取り上げられている人たちは

三島由紀夫、黒澤明、白洲正子、手塚治虫、土方歳三、山田太一、立川談志、五社英雄、

ずらっと並べられた本をはっきり覚えてる。
(わたしはその日、三島由紀夫と立川談志を持って帰っている)


岩本くんは
目の前に座った長渕から
矢継ぎ早やにたくさんの質問をされた。
しかしながら
彼の言葉は詰まることなく、縦糸に水のごとく
、よどみなく、
自分の思いを!この本を出す必要性を!
文学的な深い言葉で一気に話し始めた。

わたしは今までたくさんの人を見てきている。
長渕剛という、言葉の乱射撃が出来る人の前で
自分の思いを、初対面で
物怖じもせず、臆することもなく、
目を伏せることもなく、言える人をあまり知ってはいない。

思想家長渕剛を描きたいと彼は真摯に言い切った。
文学界の作家たちと対峙させ、共闘させ、
誰も書いたことのない長渕剛を描きたいと言い切った。



その日からの岩本くんの、奮闘を忘れない。


わたしは作家、柳美里氏に
人間的魅力を感じていたから
対談が、決まったときは感慨深かった。

メメント モリの藤原新也氏にも会うことになった。

「家族ゲーム」「 親子ゲーム 」「とんぼ」を生んだプロデューサー柳井さんとも30年ぶりに会った。



11月28日の発売から
あっという間に3万部を売り、さらに
増刷が
決定したと、
今日、報告を受けました。

ムック本の快挙らしいです。


ぜひ
手に取ってもらいたいです。

黒めがねの文学青年、
岩本くんに畏敬の念です。

 

 

 

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15 件のコメント

  • 深幸 より:
    もっちろん買いましたょ♡
    思いが伝わりますっ!
  • asahi より:
    本屋さんに行ったら、売り切れと言われて、探し回りました⤴⤴ やっと買えて毎日数ページずつ読んでます(σ≧▽≦)σ
  • ひーちゃん より:
    悦子さんへ、(本当は今も志穂美さんと呼び続けたいのですが)
    剛の本、近くの書店には無かったので、仕事帰りに大手書店に買いに行きました。
    父ちゃんへの散文を読んで、私自身の父の亡くなったときの事を思いだし、そのあとももっと読みたいのですが、
    今の私は、まいにちのしごとと、母が入院してとにかく時間がなくて、じっくりと読むことができていません。
    でも、ずっと鞄の中に入れてます。
    時間かできたらゆっくり読みたいです。
  • さきこ より:
    発売当日既に残り一冊となった物を運よくゲットできました。会報と、仕事以外活字離れしつつあった私ですが、寝る間も惜しみ夢中で読みました!
    哲学的だったり文学的であったり、なかなか難しい所もありましたが、やはり剛さんの言葉や、文面が分かりやすいこと。同じく柳井さんやスコットの話にもひきこまれ対談も良かったです。語録も自分の感性に響き揺さぶられました。
    沢山思いが溢れてくるけれど、うまく伝えれませんが、富士から頂いたパワーを原動力に躍進し続けていってください。ついていきます。
  • 玲子 より:
    悦子さん、私も買いました!!
    剛さんの生き方や熱い思いが伝わってきます。
    本を手にしてから、またまた剛さんが私にとって
    尊敬するべき存在になりました。
    頑張ります(^_^)v
  • 信子 兵庫県 より:
    発売決定して、すぐに本屋に☎予約しました

    いま、少しずつ読んでいます

    とても、すばらしく感情描写も上手に剛さんらしい本に仕上がっていて

    毎日楽しみに読んでいます
  • 浅野 陽子 より:
    今日は 先日、フラワーアレンジメントでお世話になった者です。私は、長渕剛さんを知ったのは、中学生の時です。今50歳なので、40年弱 歌を聴いています。私に長渕剛さんを、教えてくれた男の子は、20代で自ら命を絶ちました。悲しくて、今の剛さんの様に、後を追おうかと思いました。しばらく経つと、何故かその人の分まで、生きてやろうと思いました。そして、彼の憧れの剛さんに会って、自慢してやるんだ、と頑張ってきました。              アレンジメントの当選メールが届いた時、高熱を出した父と一緒に救急車で運ばれた時でした。行けないかもと、諦めていましたが、主人が行っておいでと言ってくれました。一人での参加になりましたが、悦子さんは、こっそりと後ろから、声を掛けて下さいました。心臓が飛び出そうでした。  何とかこらえていましたが、剛さんが悦子さんの為に、忙しい中、お店に現れた時、涙が溢れとまりませんでした。  帰って行く剛さんを見て、これではいけないと勇気を出して、握手して下さいと伝えました。忙しいから、ごめんねと 握手はできませんでしたが、また頑張る勇気が出てきました。岩本さんの様に、しっかりと自分の意見が伝えられる様な人になれるように、頑張ります。            今にも亡くなりそうな父と始めのページが重なり、まだまだ私も生きて頑張るぞと思いました。
  • まあ より:
    予約購入して早速読みましたよ!

    寝る前に少し…と思って開いたら
    止まらんようになってしまい(@_@;)

    柳美里さん、剛のファンやったんですね!

    どれだけの人が剛から生きる力を
    もらってるんやろ…

    岩本太一さんの信念にも感動しました!

    次は2月に発売の富士ライブのDVDですね♪
    楽しみに待ってまーす╰(*´︶`*)╯
  • eikoさん より:
    悦子さん!最後のリハビリまできましたね。スックと立った立ち姿を楽しみにしています。
     文藝別冊、3日かけて6軒目の書店でやっと手にしました。読み応えのある今までにない物ですね。長渕剛が、深く鋭く掘り下げられ時代の中で書き手にどう関わってきたのか
    非常に興味深く、何度でも繰り返し手にしたくなります。
    同時に、人間長渕剛のこれからの創作に歌声に期待せずにはいられません。
     
  • 大井剛一 より:
    岩本さんの熱い熱意が剛さんに伝わって良かったですね。俺は発売当日に買いました。岩本さんも門下生になりましたね
  • 純子 より:
    ネットで勿論買いましたよ!!剛さんの色々な思いがつまった本です。まだ最後まで読めていませんが、ゆっくり味わいながら読みます。
  • 月夜のうさぎ より:
    発売日、書店に行きましたが、な、ない……
    それから4日目、ついに手にすることができました!

    冒頭の富士ライブ写真に、時の流れを感じつつ熱い思いがふつふつとやよみがえるなか、「父ちゃんの詩」・・・こころが揺さぶられ、活字がにじみ出し体のなかを駆け巡りました。

    少しずつですが、言葉をかみしめながら読んでいきます。
  • 川崎晃輔 より:
    熱意と行動力のある青年ですね。

    悦子さんも彼に何かを感じられたんですね。

    発売が楽しみです。押忍
  • いちファンのK より:
    悦子さんのオフィスのお仕事もブログで知れて良かったです。
    やり手な感じですね!
    本当に様々な人に会い様々な所に行き様々な経験をされてますね。
    読んでみたいです。
  • フッキー より:
    悦子さん
    買いましたよ!!読み出したら止まらなくて少々寝不足気味です。
    岩本さんの熱意も感じられる素敵な本ですね!

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